やすの銭湯日記

1997年2月12日
荏の花温泉

品川区旗の台2-4-4

荏の花温泉は昭和大学のビル群のそばに、それらとは対照的にレトロな雰囲気を出した外観をして建っている。今まで行った銭湯の中にもこのようないい雰囲気の建物はいくつかあったので、ここも同じような感じなんだろうと思っていたが、この銭湯はいい意味で期待を裏切ってくれた。

下駄箱に靴を入れて戸を開けると、昔ながらの番台。板ばりの床にも年季が入っている。しかし脱衣場で驚いているようではまだ甘かった。浴室に入るとシャワーが一つもない。カランが並ぶだけの本当にシンプルな設備だ。まさに一昔前にタイムスリップしたかのような感じ。両側の壁に並ぶカランには鏡がついているのだが、中央のしきりはひざ上くらいの高さにただカランがついているだけ。混んでくると向き合う人と目があってしまって気まずそうだ。浴槽も浅いのと深いのとで二つに分かれているだけ。そこに茶色の天然温泉が入っている。

シャワーがないことは、シャワーでの洗髪に慣れている身としては少々違和感を感じざるを得ない。しかし、そのおかげで浴室内は非常に静かに感じる。最近の銭湯ではポピュラーな泡風呂や超音波風呂などが一切ないのもそう感じさせる一因だろう。雰囲気はどこかの田舎の湯治場のようで最高だ。

温泉の湯は結構熱いがじっとしていると我慢できる程度の熱さ。これも気に入った。長湯したくなるが、のぼせないように注意しなければ‥‥。

雰囲気のよさにおされて、普段は飲まない瓶牛乳などを買ってしまった。



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